弁碁士の呟き

私と囲碁(2) 囲碁との出会い

| 2014年6月12日

徳島では、田舎町の街角の餅屋のおやじさんの店の一角で、夕刻になると近所の人たちが縁台将棋を楽しむのをよく見学したことから、将棋には親しむことができたが、囲碁とは縁がなかった。

大阪に移り、父の建てた工場の母屋で暮らしていると、家に碁盤が置いてあるのを見つけた。そして、住み込みの工員さん2、3人が夜になると烏鷺(黒白)を戦わせていた。これが碁とのかかわりの第一歩であった。どうやら父が戦後上海で2年ほど行動制限をされていた間の暇時に、知人から碁の手ほどきを受けたらしい。父もたまに工員さんの相手をしていた。

当時、ルールもろくに知らない私が少しは碁を知っていると称していた近所の同級生と見よう見真似で一局打ってみたが、盤上石なしの散々な目に会い、何回打っても同様だったので、なにやら悔しく、もうやめたということになり、高校1年まで石を握ることがなかった。今になって悔やまれるところだ。(続)

赤沢敬之

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