弁碁士の呟き

私と囲碁(30) 棋譜並べ④ー本因坊道策全集

| 2015年2月18日

new_20150215_225607この間、平成3年に「本因坊道策全集」4巻(153局)が日本棋院から発行されたので、欲張りにもこれに挑戦することになった。平成3年12月から約半年間は、他の2つの全集はお休みにして、古今最強と言われる本因坊道策の実戦譜に触れてみた。安井算哲の天元の1局や「生涯の一局」と自ら語ったという安井算知との1683(元和3)年の2子局(2目負け)など興味津々であった。

道策は江戸時代前期の寛文・元禄の頃、向かうところ敵なしの天才ぶりを発揮した四世本因坊で名人碁所である。お城碁は14勝2敗だったが、この2敗はいずれも二子局1目負けであった。その棋風は全局の調和を重視した「近代囲碁の祖」と評価されている。その真髄の一端は呉清源の「調和の精神」に引き継がれているし、現代でも有力布石として定着している「ミニ中国流」の開祖として今なお命脈を保っている。繰り返し並べたものでなく、上面を撫でただけだったから、思いもよらぬ発想やシノギのサバキ筋などに感嘆するばかりであった。しかし、高手の芸に触れただけでもなにがしかの成果は得ることがあったかと思う。

因みに、道策は、直木賞作家江崎誠致氏の小説「名人碁所」に準主役として登場し、師匠の本因坊道悦と安井算知との碁所争いに重要な役割を果たし、また冲方汀氏の「天地明察」では安井算哲(渋川春海)を暦学・天文学の道に専心させる一因を担ったことなどが興味深く描かれている。後者の映画化の際は久しぶりに劇場に飛んで行ったものである。(続)

 

赤沢敬之

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