弁碁士の呟き

私と囲碁(32) 棋譜並べ⑥ー本因坊秀策全集

| 2015年3月8日

new_20150213_175117 さて、私の「全集並べ」もようやく「本因坊秀策全集」に辿り着くこととなった。平成9年12月頃、たまたま元関西大学囲碁部に所属していたという私の依頼者から平成7年発行の「完本 本因坊秀策全集5巻」を頂いたので、翌10年12月から事務所に置いて折りを見て並べることにした。忙しい仕事の合間なので毎日1局とは無理で、ボチボチ碁盤に並べるうちに、アッという間に15年の月日が経ってしまい、ようやく平成25年3月に437局が完了した。この棋譜は碁盤に並べたあとその都度パソコンに入力していたので、今も必要に応じ再現して見ることができるのは便利である。

 それまでにも秀策の碁は、井上幻庵因碩との「耳赤の一局」など有名棋譜は解説書で接してはいたが、全局を並べてみて、元禄の道策と並び称されている幕末の棋聖秀策の碁風の特徴がなんとなく理解できたような気がする。絢爛華麗な道策とは対照的に、秀策の碁は堅実にして明快、平明さの中に強さが隠されている。現代においても参考になると評されているが、確かにアマチュアの勉強にはもってこいの棋譜揃いである。お城碁19連勝無敗の実績を残しながら同門のコレラ患者の看病の中で自らも罹患し34歳の若さで亡くなった惜しまれる人格の人であった。

 「全集」並べはこれをもって終わり、以後は専ら新聞や囲碁雑誌の最新棋譜に移ることとなるのだが、棋譜の数たるやあまりにも多く、とても追いきれるものでないので、棋聖戦、名人戦、本因坊戦とNHK杯に絞って並べることにしているが、新聞切抜きが増える一方である。(続)

赤沢敬之

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