2020年1月25日
今年4月1日から、改正民事執行法(民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(令和元年5月17日公布))が施行されます。
民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律について(法務省)
裁判で勝訴判決もらっても債務者が任意に支払わない場合、強制執行という手続きをとることになりますが、何を差し押さえればいいか、債務者の財産状況がわからない場合も少なくありません。そのような場合のために、裁判所を通じて債務者に自己の財産を開示させる手続きが「財産開示手続」です(民事執行法196条~)。
財産開示手続を利用する方へ(裁判所)
しかし、旧来の財産開示手続は、利用できる人が限られていたり、債務者が裁判所の呼び出しを無視するとか、本当のことを言わなかったりしたような場合のペナルティが弱かったりで、あまり使い勝手がよくありませんでした。
債務者財産の開示制度の実効性の向上に関する検討 (法務省)
そこで、今回の改正では、財産開示手続を利用できる人の範囲を広げ(仮執行宣言付判決や執行証書も可能)、かつペナルティを強化し(過料から前科のつく刑事罰ー懲役・罰金に変更)、より使いやすいものにしています。
また、債務者以外の第三者から、債務者の財産に関する情報を取得できる手続き(第三者からの情報取得手続)も新設されます(新法204~)。
これにより、債務者が預金を預けている銀行や、債務者の勤め先、債務者が持っている不動産のある市町村など、債務者以外の第三者からも債務者の財産に関する情報を取得することができるようになります。
なお、勤務先や不動産の照会は、先述の「財産開示手続」を先行させることが必要です。他人に聞く前にまず本人に聞いてから、ということですね。これに対して、銀行等の照会は、下手に本人に尋ねて預金を移動されると困りますので、秘密裏に調査できるよう、財産開示手続を先行させなくても、直接申し立てることができるようになっています。