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[改正]4月1日から屋内施設が全面禁煙になります

2020年1月16日

出典:「けむいモン」 x 全国ご当地キャラクター コラボポスター(厚生労働省)

 

2020年4月1日から店舗・オフィスが原則全面禁煙になります

望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について権原を有する者が講ずべき措置等について定める「健康増進法の一部を改正する法律」(平成30年7月25日公布)が今年2020年4月1日から全面施行されます。

健康増進法 第六章(受動喫煙防止)
「なくそう!望まない受動喫煙」Webサイト(厚生労働省)

 

学校・病院・行政機関などの一部施設での敷地内禁煙はすでに2019年7月から施行されていますが、いよいよこの4月から一般的なオフィス・飲食店など「多数の者が利用する施設」に対しても全面的に施行されることになります。

出典:施行スケジュールについて(なくそう!望まない受動喫煙。厚生労働省)

 

2人以上の施設が対象

この「多数の者が利用する施設」(法28条等)とは、「2人以上の者が同時に、又は、入れ替わり利用する施設」とされています(改正健康増進法の施行に関するQ&Aより)。

つまり、来客もない一人事務所のような場合以外は、すべてのオフィス・事業所内での喫煙が原則禁止されることになります(もちろん当事務所も対象です)。

 

灰皿もおいてはだめ

これらの喫煙禁止場所においては、喫煙器具・設備を設置することもできなくなります(法30条)。したがって、施設の管理権限者には喫煙禁止場所にある灰皿などの備品を撤去する義務が生じます。

 

加熱式タバコもだめです

また、禁止される「タバコ」には、従来の紙巻きタバコの他、タバコの葉を加熱して使用する「加熱式タバコ」(アイコスグロープルームテックなど)も含まれます。したがって、4月からは施設内でのこれらの使用も原則禁止となります。

一方、タバコの葉を使用しない、リキッドタイプのいわゆる「電子タバコ」(DR.VAPE・bluなど)は規制対象外とされます(改正健康増進法の施行に関するQ&Aより)。なので、どうしても、という場合はこちらに乗り換えることになりそうです(ただし米国では電子タバコの健康被害も問題視されていますのでこの機会に禁煙をおすすめします)。

 タバコから発生する煙には、約5,300種類もの化学物質が含まれており、その中には、ニコチン、タール、一酸化炭素、シアン化水素などの有害化学物質、約70種類の発がん性物質が含まれるといわれています。タバコの国際条約の条文中には、「締約国は、タバコの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識」すると記されており(たばこ規制枠組条約)、タバコの害は世界共通の認識となっています。
 このタバコの煙には、喫煙者が吸い込む「主流煙」のほか、タバコの先端から発生する「副流煙」、喫煙者が吐き出す「呼出煙」があります。受動喫煙の主な要因となるのは副流煙・呼出煙で、特に副流煙は主流煙に比べ、ニコチン・一酸化炭素などの有害物質が多く含まれており、この副流煙・呼出煙に晒される受動喫煙により、肺がんや脳卒中、虚血性心疾患などさまざまな病気のリスクが高くなるといわれています。特に子どもや妊婦のは受動喫煙による健康影響が大きいことがわかっています(出典:喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書)。

 

例外的に喫煙可能な場合もあります

既存特定飲食提供施設の場合

既存の経営規模の小さい飲食店既存特定飲食提供施設については、全面禁煙による事業継続への影響に配慮し、例外的に経過措置が設けられています

既存特定飲食提供施設の考え方及び範囲について(厚生労働省)
既存特定飲食提供施設に該当する事業者(なくそう!望まない受動喫煙。厚生労働省)

大阪府の既存特定飲食提供施設にかかる独自の取り組みについて
大阪府受動喫煙防止条例の概要(2019年3月20日公布)(大阪府)

 

喫煙専用室・喫煙目的室等を設置する場合

また、施設における事業の内容や経営規模への配慮から、喫煙のための各種喫煙室(たばこの煙の流出を防止するための基準として厚生労働省令で定める技術的基準に適合した部屋でなければなりません)を設けることにより、例外的に屋内での喫煙も可能とされています法33・35条等)各種喫煙室早わかり

 

喫煙室を設ける場合はその種類に応じた標識を掲示する義務があります。

施設に喫煙室があることを示す各標識(出典:なくそう!望まない受動喫煙。厚生労働省

 

もっとも、喫煙ルームを設けたとしても、20歳未満の入室は禁止されています(法33条・35条)。もちろん、小さい子どもを連れて喫煙ルームに入ることはできません。

 

居住の用に供する場所はOK

なお、プライベートな居住場所へ法が強制力を持って踏み込むことはなじまないということから、家庭内や、事業所でも老人ホームなどの人の居住の用に供する場所」、旅館の客室などには改正法の適用はありません法40条

とはいえ、望まない受動喫煙の防止という法の趣旨からすると、喫煙者はできるだけ子供や非喫煙者に配慮するべきでしょう。

人の居住の用に供する場所(改正健康増進法の施行に関するQ&A

 

 

違反者には罰則があります

4月1日からの全面施行により、禁煙はこれまでの罰則のない「努力義務」「マナー」から、罰則のある「法的義務」「ルール」に変わります。

違反者に対してはまず都道府県知事等から「指導」がなされます(法31条)。これに従わず改善がみられない場合「勧告・命令」が出され(法32・34・36条)、なおも改善がみられない場合は罰則(秩序罰としての「過料」)が課されることになります(法76-78条)。

 

義務違反時の指導・命令・罰則(出典:なくそう!望まない受動喫煙。厚生労働省)

 

過料の額は違反の内容により最大50万円となっています。例えば
・喫煙禁止場所で喫煙した場合・・・喫煙者に最大30万円
・喫煙禁止場所から灰皿などを撤去しない場合・・・施設管理者に最大50万円
の過料が課されることになります。ご注意ください。

改正健康増進法における義務内容及び義務違反時の対応について(厚生労働省)
義務違反時の指導・命令・罰則の適用について(なくそう!望まない受動喫煙。厚生労働省)

 

 

施行日までに受動喫煙防止対策のご準備を

改正法の施行に向けて、各飲食店、事業所の方は、各種喫煙室を設置する、換気装置を設置する、標識を設置する、喫煙器具等を撤去する、などの準備が必要です。行政でも助成金等、各種の財政・税制上の制度が整備されていますので上手にご利用ください。

事業者の皆さんへの財政・税制支援等について(なくそう!望まない受動喫煙。厚生労働省)

 

改正法の内容については厚生労働省の特設サイトもぜひご一覧ください。

特設サイト なくそう!望まない受動喫煙。(厚生労働省)

特設サイトでは、受動喫煙対策推進啓発ツールもダウンロードできるようになっており、各種ポスター、チラシ中学生・高校生向けリーフレットや、標識などをダウンロードできます。楽しい「全国統一けむい問模試」も受けられますよ。

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