2022年5月26日
在外国民が最高裁裁判官の国民審査に投票できない現在の国民審査法が憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、25日、最高裁判所大法廷(裁判長・大谷直人長官)は、同法を公務員の選定罷免権を保障した憲法15条等に違反し違憲とする判断を示しました。また国民審査権は選挙権と同様に保障された国民の権利とし、正当理由なく長期に渡って立法を怠った立法不作為も認めて、国に対し賠償を命じました。裁判官15人全員一致の意見です。
判示事項
1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反する
2 在外国民が、国が自らに対して次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求める訴えは、適法である
3 在外国民に国民審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとされた事例出典:最高裁判所判例集(裁判所)
最高裁判所裁判官国民審査法
最高裁判所判例集(裁判所)
判例全文(裁判所)
最高裁が法令違憲の判断を下すのは稀で、今判決で戦後11例目になります。
直近では2015年に再婚禁止期間を定める民法の規定部分を違憲とした判決があります。