2019年12月9日
4日、行政書士法の一部を改正する法律(令和元年法律第61号)が公布されました。主な改正内容は、
① 法律の目的に「国民の権利利益の実現に資すること」を明記
② 社員が一人の行政書士法人の設立等の許容
③ 行政書士会による注意勧告に関する規定の新設
となっています。施行は公布から1年6ヶ月後以降、2021年中からとなるようです。
ところで、①の意味がよくわからないかもしれませんが、旧規定と比較すると明確になります。旧規定はこうなっています。
これに対して、新規定は
となっています。
つまり今回の改正で、行政書士法の目的に、単に「国民の利便に資する」ことだけでなく、それをもって「国民の権利利益の実現に資する」ことが明記されたわけです。
昨今、行政書士の業務が多様化し、行政不服審査の手続代理や成年後見制度の専門職後見人など、国民の権利利益に深く関わるものになってきている状況を反映したものですが、同じ法律職の弁護士法、司法書士法はどうなっているでしょうか。
弁護士法
(弁護士の使命)第一条
弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
先日の改正で司法書士法は目的規定を廃止し、弁護士法同様の使命規定に改正されていますが、それはさておき、いずれも「人権」「国民の権利」という文言が謳われています。今回改正行政書士法も、これを後追いするように権利規定の明文化を実現したといえるでしょう。
これまでの行政書士も、行政に対する手続代理や権利義務等の文書作成を通じて国民の権利実現に寄与してきたわけですが、今回の明文化により、国民の権利を守りその利益を実現する法律職として、よりいっそうの高い倫理性と重い責任が求められることになりそうです。