今回は、共有関係を解消する必要が生じた時に、共有物を分割する方法について説明します。
共有者間の協議にもとづいて分割する場合は、①現物で分ける方法(例えば、土地であれば、分筆して、分筆後の各土地をそれぞれが単独所有する)、②共有者の一部の人が取得して、他の共有者には金銭で精算する方法、③共有物を売却して代金を分ける方法、などを自由に選択できます。
しかし、共有者間の協議がまとまらない場合は、共有物分割請求訴訟により、裁判所が判決で分割方法を決定することになります。
この場合については、民法258条2項に、「共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる」という規定があり、ここでは、現物分割を原則とし、それが不可能かそれによる場合は共有物の価格を著しく減少させるおそれがある時は、競売にかけてその売却代金を分割する方法によるとされています。
どういう場合が現物分割が不可能な場合にあたるかは少々問題ですが、私が担当した事件では、共有土地の境界確定が困難なため分筆登記ができないことを理由に現物分割が不可能な場合にあたると裁判所が認定したものがあります。
民法におかれている規定はこれだけですが、最高裁判所の判決によって、次のような分割方法も認められています。
①複数の共有物について一括して分割する場合(最高裁昭和62年4月22日判決)
分割対象が多数の不動産である場合は、それらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有者の単独所有とすることが許され、持分の価格以上の現物を取得する共有者に超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることも許される。
②全面的価額賠償(最高裁平成8年10月31日判決)
共有物の性質等の事情を総合的に考慮し、その価格が適正に評価され、取得者に支払能力があるなどの特段の事情が存在するときは、共有物を共有者の一人または数人の所有とし、他の者には持分の価格を賠償させる方法による分割も許される。