4−1 相続手続きが必要な財産にはどのようなものがあるでしょうか
相続手続きが必要な財産は「被相続人の財産に属した一切の権利義務」つまり故人の有していたすべての財産上の権利や義務です(民法896条)。プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含みます。また物に限らず、債権債務や契約上の地位(賃貸人の地位など)も含みます。
相続財産の例
● 積極財産(プラスの財産)
- 不動産(土地や建物など)
- 現金・預貯金
- 有価証券(株や投資信託など)
- 動産(自動車や貴金属、家財道具など)
- 貸付金
- 会員権(ゴルフ会員権など)
など
● 消極財産(マイナスの財産)
- 借金・ローン
- 保証債務
- 地代・家賃
- 未払い医療費
- 未払い租税公課
など
相続財産に当たらないもの
もっとも財産上の権利義務であっても、故人の「一身に専属したもの」つまりその人ゆえに認められる権利や義務は相続の対象となりません(896条ただし書き)。例えば「年金請求権」や「雇用契約上の労働者の地位」などです。
また当然ながら「身分上」の権利義務も相続対象ではありません。例えば「親権者の地位」などが相続されないことは容易におわかりでしょう。
なお、故人の生命保険契約等により相続人が受け取った死亡保険金は受取人の固有の財産とされ、原則として相続財産にはあたりませんのでご注意ください(ただしみなし相続財産として相続税の課税対象となることはあります)。
相続財産でお悩みの場合はお気軽にご相談ください。
(相続の一般的効力)
民法第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
4 相続財産について | 2022年3月23日