訴訟の当事者になる資格を当事者適格と言いますが、境界確定訴訟においては、一般に、相隣接する土地の所有者だけが当事者適格を有すると解されています。これは、境界紛争の解決は利害関係の強い者に担当させるのが適切であり、通常は、境界の両隣地の所有者が当該境界の確定に最も密接な利害関係を有しているので、当該所有者が当事者となるのが適切であるという考え方にもとづいています。
「所有者」ということですから、借地人、地上権者、土地の単なる管理者などは当事者にはなれません。また、対象土地について抵当権の設定を受けている債権者や売買予約の仮登記をしている買主なども、対象土地の範囲について利害関係を有していますが、当事者にはなれません。
次に、「相隣接する土地」の所有者ということですから、係争地の中間に第三者の土地が存在している場合は当事者適格が否定されます。また、甲地と隣接する乙地の所有者が甲地の全部を時効取得した場合も、甲地の所有者は当事者適格を失います。