取得時効の要件である占有は、「所有の意思」をもってする占有(これを「自主占有」と言います)でなければならない、とされています。
「所有の意思」の有無は、占有者が実際にどう思っているかではなく、占有の「権原」、つまり占有者が占有を取得する原因となった事実の客観的性質によって決まります。したがって、占有取得の原因が、売買や贈与など、自ら所有者となる場合は「所有の意思」ありとされるのに対して、賃貸借や寄託など、他人の物を借りたり預かったりするに過ぎない場合は「所有の意思」なしとされます。
「所有の意思」は法律上推定されますので(民法186条1項)、それを争う側に所有の意思がないことの立証責任が負わされます。