法律よもやま話

(その1)いつかAI裁判の時代が?

2018年8月31日

今では裁判書類をファックスで提出することは当たり前のことになっていますが、それも一昔前までは認められていませんでした。裁判が最もIT化が進んでいない世界の一つであることは間違いないでしょう。

その状況を大きく変え、裁判書類の提出や事件の管理、さらには証人尋問など法廷での審理にまで、コンピューターやインターネット等の情報通信技術(IT)を大幅に導入して、「適正かつ迅速な裁判の効果的・効率的実現」を図ろうという提言が、本年3月に政府の「裁判手続等のIT化検討会」から出されました。

これは時代の趨勢と思われる反面、法廷に証人がおらず、モニターの画面に向かって尋問するような審理のやり方が、はたして極めて人間的な裁判という営みと相容れるのかという疑問もあります。

囲碁でさえ人間がAIに屈する今の時代、裁判もいっそAIにやらせたらいいのではないかなどと言われないように、裁判に携わる人間の一人として、利用者が納得できる裁判をめざして、意識を新たにしていかなければならないと考えています。

井奥圭介

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