私と囲碁 | 2015年12月9日
さて、10月10日午前9時開始の第1局、対戦相手は広東省の38歳の青年律師。私の白番で幸先よく中押し勝ちだったが、午後の第2局目は河南省の34歳の青年に黒番中押負け。続く夜戦、午後7時半からの第3局は浙江省代表と2時間50分にわたる熱戦だったが、黒番時間切れの勝ちで無事1日目は終わった。持ち時間1人1時間半は、私にとって日頃の日本でのアマ戦の45分に比べゆったりと打てる。序盤作戦に時間を費やし終盤時間に追われて失敗することの多い私だが、2倍の持ち時間は有難く、お蔭で棋譜も100手ほどは採ることができたのだった。
翌11日の大会2日目、午前の第4局は四川省成都代表との白番。終盤まで楽勝の局勢だったのに、黒の石を取ろうと欲を出したのが悪く、損を重ねて1目半の逆転負け。この相手はなかなかの強手で個人戦で126名中9位であった。午後の部第5戦は海南省の32歳の青年との対局で黒番中押し勝ち。碁歴14年、棋譜並べの独学で上達したとのことだった。そして夕食後の第6戦。重慶市代表との白番を中押で制し、ようやく4勝2敗で2日目を終えた。
第3日は、午前の第7戦が山西省代表の35歳の青年。力戦派で白番中押し負け。そのあと午後の第8戦に当たったのは数少ない韓国選手団の団長と思われる63歳の弁護士で、重厚な棋風の本格派。私の黒番だったが、序盤作戦が悪く、中押し負け。これで4勝4敗の相星となってしまった。そして夜の部の第9戦は天津市の48歳の中年律師との白番、終盤に逆転の11目半勝ちで愁眉を開く。こうして3日目を終え、日本ではとても味わえない終日「囲碁三昧」の日々が、懸念していた体調にも好影響をもたらしてくれたようだった。
これまでの戦い、初めての中国ルールによる対局に戸惑いを覚えること屡々であった。日本では、勝敗は地合い(陣地マイナス取られ石)の広さを比較するのに対し、中国では、盤上に生存する石数の多さ(陣地プラス盤上の石数)を比較する。従ってダメも石数になるのでおろそかにできない。アゲ石は無関係なので、すぐ相手に返すか横に置く。これが私には最初よく分からず、目算のカンが狂う原因となった。終局後は審判員が白黒いずれか一方の石を整地して勝敗を判定する。ここまでの9局は殆どが中押しか大差の碁で中国ルールを意識する必要がなかったが、第4局の1目半負けの時は最後まで正確な数値をヨムことができなかった。
3日目を終え、なんとか負け越しを免れたので、その夜12時までの日本団員との歓談で傾けた紹興酒の味わいが心地よかったことを思い出す。(続)