弁碁士の呟き

私と囲碁(4) 大学時代―実戦入門

| 2014年7月1日

大学に入ってからは、人並みの勉強や読書、研究会や自治会活動などに追われ、たまに寮や下宿で将棋を楽しむ程度であったが、卒業時分にはなんとか初段程度の力はつけていた。

大学4年の夏には、司法試験があり、その年は年初から下宿と大学図書館の往復生活が続いた。その頃、何気なく読んだ朝日新聞の囲碁観戦記が面白く、毎日楽しみにしていたことを思い出す。

昭和33年の頃だったから、呉清源、木谷実、橋本宇太郎、藤沢朋斎、高川格、坂田栄男など往年の強豪などの棋譜であったと思われるが、記憶には定かでない。しかし、そのお蔭でなんとはなく囲碁に親しみを持つようになったことは確かである。だが、実際に碁盤を前に碁石を握る暇もなく、ひたすら試験勉強に没頭するほかはなかった。

やがて10月、幸い合格の列に滑り込むことができ、卒業まで開放気分の数ヶ月に恵まれた。共に図書館通いを続け合格した友人N君が囲碁を知っていると聞き、学生会館で教えを請うこととなった。当時の棋力はまだ入門の域を出なかったが、大学卒業当時はなんとか15級程度にはなっていた。(続) ※写真は大学1年駒場寮(前列右が筆者)

赤沢敬之

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