法律よもやま話

(その12)債権法改正⑤「保証」

2022年1月6日

 今回は、民法の債権法の改正のうち、保証についての説明です。保証に関しても、以下のとおり、いくつか注目すべき改正が行われました。

1 保証の内容の条文化
 保証とは、主債務者が債権者に対して債務の履行をしない場合に、保証人がそれを履行する責任を負うものです。
そこで、保証人の知らないうちに負担が加重されるようなことがあってはいけませんので、保証契約の締結後に主債務者と債権者との合意で主債務の内容が加重されたとしても、保証人の負担は加重されないことが条文で定められました(448条2項)。
 また、保証債務は、あくまで主債務の履行を担保するものですから、主債務者が債権者に対して何らかの抗弁を主張できる場合は、保証人もそれを主張できることが条文で定められました(457条2項)。

2 保証人に対する情報提供義務の新設
 これまで、主債務者が倒産して不払い状態となっていても、保証人がそのことを知らず、債権者から請求を受けた時には多額の遅延損害金が発生していた、というようなことがありました。
 そこで、保証人がそのような不測の損害を被らないようにするために、改正法では、保証人が主債務者の委託を受けて保証した場合は、債権者は、保証人の請求があれば、遅滞なく、主債務の元本、利息、違約金、損害賠償等の支払いの不履行の有無、残高など、主債務の履行状況に関する情報を提供しなけばならないことが定められました(458条の2)。
 同様に、保証人が個人である場合は、主債務者が分割金の支払を遅滞するなどして期限の利益を喪失した場合は、債権者は、そのことを知った時から2箇月以内にその旨を保証人に通知しなければならず、その通知をしなかったときは、保証人に対し、通知をするまでに生じた遅延損害金を請求することができないこととされました(458条の3)。
 さらに、ある人の保証人になるかどうかを判断するには、その人の財産状況を知っておく必要がありますので、改正法では、債務が多額になり得る、事業のために負担する債務についての保証を個人に委託する主債務者は、①財産及び収支の状況、②主債務以外に負担している債務の有無や額、履行状況、③主債務の担保として他に提供し又は提供しようとするものがあれば、その旨と内容に関する情報を提供しなければならいことが定められました(465条の10-1項・3項)。

3 公証人による保証意思確認の手続の新設
 事業のために負担した貸金等の債務についての保証では、保証債務の額が多額になりがちなため、主債務者が倒産した場合には保証人の生活まで破綻してしまうリスクがありますが、保証人の中には、そのことをよく自覚せず、安易に保証人を引き受けてしまった例も少なからずあることが問題になっていました。
 しかし、他方で、中小企業が、保証人を見つけられないために融資を受けにくくなる事態も避けなければなりません。
 そこで、改正法では、保証人が個人である事業のために負担した貸金等の債務についての保証契約では、公的機関である公証人が保証人になろうとする者の保証の意思を事前に確認することとした上で、その意思確認をしていない保証契約を無効としました(465条の6等)。

井奥圭介

(その11)債権法改正④「賃貸借」

2021年9月1日

 今回は、民法の債権法の改正のうち、賃貸借についての説明です。賃貸借に関しても、以下のとおり、いくつか注目すべき改正が行われました。

1 賃貸借の期間
 賃貸借の期間は、以前は、借地や借家を除いて、最長20年とされていました。しかし、  現代では、例えば太陽光発電用の土地の賃貸借などのように、20年以上の期間とする現実的ニーズもありますので、改正民法では最長50年に伸ばされました(第604条)。

2 賃借物の修繕
 改正前の民法では、借家などの賃借物を修繕する必要が生じた場合は、賃貸人が修繕義務を負うと規定するだけで、賃借人の方で修繕することを認めた規定はありませんでした。
しかし、これでは、いくら言っても賃貸人が修繕をしてくれない場合、賃借人は困ることになります。
そこで、改正民法は、①賃借人が賃貸人に修繕が必要なことを通知したか、賃貸人がそのことを知ったのに、相当の期間内に修繕をしないときや、②急迫の事情があるときには、賃借人の方で修繕することを認めました(第607条の2)。

3 賃貸人の地位の移転
 土地や建物などの不動産が人に賃貸されたまま売買等されることがありますが、不動産の賃貸人の義務(賃借人に土地や建物を使わせる義務)は所有者であれば履行できますので、以前から、不動産の譲渡人と譲受人の間で合意をすれば、賃借人の承諾がなくても、賃貸人の地位は譲渡人から譲受人に移転すると解されていました。
そこで、改正民法は、この考え方を条文にし、賃貸借の対抗要件(建物の引渡し等)を備えていない賃貸不動産が譲渡された場合には、譲渡人と譲受人の合意で、賃借人の承諾無しに、賃貸人の地位を移転でき(第605条の3前段)、賃貸借の対抗要件を備えた賃貸不動産が譲渡された場合には、譲渡人と譲受人の合意も要らず、当然に賃貸人の地位が移転する(第605条の2第1項)と規定しました。
なお、どちらの場合も、敷金の返還義務は、賃貸人の地位の移転に伴って、譲受人に引き継がれます(第605条の2第4項、第605条の3後段)。

4 賃貸借終了時の賃借人の義務
 賃貸借が終了した際に、賃借人は賃借物を借りた時の状態に戻して返さなければなりませんが、この原状回復義務の内容について、改正民法は、通常の使用方法によって生じた賃借物の損耗や経年変化は含まれないことを明文化しました(第621条本文)。
また、賃借人が賃借物に附属させた物がある場合は撤去しなければなりませんが、分離することができない物や分離するのに多額の費用を要する物は撤去しなくてもよいと規定しました(第622条、第599条第1項但し書)。

井奥圭介

(その10)債権法改正③「法定利率」

2021年5月3日

今回は、民法の債権法の改正のうち、法定利率に関する改正についての説明です。

1 5%から3%に引き下げ

   民法では、人にお金を貸して利息をもらうことは決めていたが利率は決めていなかった場合とか、売買代金を期限までに支払わなかったために遅延損害金が発生した場合などの利率は法定利率にしたがうとされています。

   この法定利率は、これまで年5%とされていました。しかし、定期預金の金利が年6%を超えていたバブルの時代ならともかく、定期の金利が0.01%というような昨今の市中金利の状況に比べて、5%は高過ぎるという意見が強かったため、改正民法では3%に引き下げられました(404条2項)。

2 緩やかな変動制の採用

   しかし、市中金利は常に変動しますので、3%の法定利率もいつかまた不都合になる可能性があります。

   そこで、改正民法は、3年毎に見直す時期を設けて、過去60箇月の短期貸付けの平均利率(これを「基準割合」と言います)に、その前に利率を変えた時から1%以上の増減があった場合は1%単位で平均利率を上げ下げするという緩やかな変動制を採用しました。

3 法定利率の基準時

   このように法定利率が変動するということになりますと、いつの時点の利率を適用するのかが問題になります。

   この点、改正民法は、利息については利息が生じた最初の時点、遅延損害金については債務者が履行を遅滞した最初の時点の法定利率によることにしました(404条1項、419条1項)。

   したがいまして、例えば交通事故を起こして人にケガをさせたような不法行為の場合は、不法行為時(事故を起こした時)に債務者は直ちに履行遅滞になると解されていますので、不法行為時の法定利率によって遅延損害金が計算されることになります。

   これに対して、例えば賃貸人が借家の雨漏りの修繕を怠ったために賃借人の家財道具が水浸しになったというような債務不履行の場合は、債権者が履行の請求をした時から履行遅滞になりますので、請求時(賃借人が賃貸人に家財道具がダメになった損害の賠償を請求した時)の法定利率によって遅延損害金が計算されることになります。

4 中間利息の控除

   例えば、交通事故でケガをして後遺障害が残ったために将来十分に働けなくなったことによる損害(これを「逸失利益」と言います)の賠償を請求する場合は、将来に発生する損害の賠償金を前もって支払わせることになりますので、その間の利息相当額が控除されます。これを「中間利息の控除」と言います。

 この中間利息の控除の計算にも、従来、法定利率が用いられていましたが、明文の規定がなかったため、改正民法はそのことを明文で定めるとともに、適用する利率は損害賠償請求権が生じた時点(上の例では事故時)の法定利率によると定めました(417条の2、722条1項)。

井奥圭介

(その9)債権法改正②「時効(その2)」

2021年1月7日

 今回は、前回に引き続いて、民法の債権法の改正のうち、時効に関する改正についての説明(その2)です。

1 人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効

 例えば、自動車で交通事故を起こして人をケガさせたり、ひどいと死亡させてしまうことがあります。また、医師が手術でミスをして、患者に障害が残ったり、場合によっては死に至らしめることもありえます。

 このように、不法行為(交通事故の場合)や契約上の債務不履行(医師が医療契約にもとづいて手術をする場合)によって人の生命や身体が侵害された場合は、被害者を保護する必要性が強く、また、被害者は、通常の生活を送ることも困難な状況に陥り、時効完成を阻止する措置を速やかにとることも出来ません。

 そこで、このような場合に被害者に発生する損害賠償請求権については、消滅時効期間を長期化する観点から、それが債務不履行にもとづく場合は、権利を行使することができるときから10年という一般の時効期間を20年に延長し(167条)、不法行為にもとづく場合は、旧法では損害及び加害者を知った時から3年とされていた時効期間を5年に延長しました(724条の2)。

2 長期の権利消滅期間

 旧法724条後段には、不法行為による損害賠償請求権は不法行為の時から20年を経過した時に消滅するという規定があり、この規定の性質について、最高裁は、消滅時効ではなく、「除斥期間」を定めたものだとしていました。除斥期間は、消滅時効と違って、①時効の中断や停止の規定が適用されないため、期間の経過による権利の消滅を阻止できず、また、②消滅時効であれば、その適用に対して信義則違反や権利濫用に当たるとの反論ができるのに対して、除斥期間ではそれができないと解されており、被害者保護に欠けるという批判がありました。

 そこで、改正法は、この長期の権利消滅期間は、除斥期間ではなく、消滅時効の期間であることを明記しました(724条2号)。これにより、被害者は、加害者に対する損害賠償請求権の時効による消滅を防ぐための措置をとることが可能になり、また、加害者からの消滅時効が完成したとの主張に対して、それは信義則違反や権利濫用に当たるので認められないという反論をすることが可能になりました。

井奥圭介

(その8)債権法改正①「時効(その1)」

2020年9月1日

  「債権」とは、ある人(債権者)が他の人(債務者)に対して一定の行為を請求できる権利のことです。債権に対応する義務を「債務」と言います。
  債権を発生させる原因としては、売買、賃貸借などの契約が最も重要ですが、他に、不法行為や不当利得などもあります。
  この債権債務関係を規律するのが民法の債権法ですが、これにつきましても、令和2年4月から、大きな改正が行われました。
  今回は、そのうちの時効に関する改正についての説明(その1)です。
 
1 2種類の時効
    時効には、大きく、消滅時効と取得時効の2種類がありますが、債権法に関わるのは主に消滅時効です。
    消滅時効とは、権利を一定期間行使しないままでいると消滅してしまうという制度です。
2 時効期間と起算点
    消滅時効については、まず、時効期間(権利不行使の状態がどれだけ続けば権利が消滅するのか)と起算点(時効期間がいつから進行するのか)が問題になります。
    改正前の旧法では、起算点は「権利を行使することができる時」とし、時効期間は原則として10年としながら、一定の債権について時効期間を3年、2年又は1年とする職業別の短期消滅時効の特例を設けていました。また、商法では、商行為によって生じた債権については消滅時効期間を5年としていました。
    しかし、これらの特例については、消滅時効の適用関係をいたずらに複雑にするという批判がありました。
    そこで、改正法は、上記の特例を廃止し、「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」(166条1項二号)には債権は消滅するという旧法の規定を維持した上で、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」(166条1項一号)にも消滅するという規定を追加し、事実上、原則的な時効期間を5年にしました。これは、旧法で短期消滅時効が定められていた生産者や卸売商人の売買代金の時効期間が10年に伸ばされると、支払った証拠を残すために領収書を長期間保存しておかなければならなくなるといった不都合を避け、また、商行為債権については消滅時効期間を5年とする実務運用が根付いていることに配慮したものです。
    この二つの規定により、権利行使が可能であることを容易に知ることができない債権については、10年間は債権者の知らないうちに時効が完成するすることを避けながら、それ以外の多くの債権については時効期間を5年に短縮できることになります。

井奥圭介

(その7)相続法改正③「相続人を含む利害関係人の実質的公平」

2020年4月9日

平成30年7月の国会で決まった相続法改正の3つのポイントのうち、今回は、3つ目のポイントである相続人を含む利害関係人の実質的公平についての説明です。

関係者の実質的公平をはかるために、(1) 相続開始後遺産分割終了前に遺産が処分された場合に関する規律や、(2) 相続人以外の親族が被相続人の療養看護等の貢献を行った場合にその者に相続人に対する金銭請求を認める制度が設けられました。

 

(1) 相続開始後遺産分割終了前に遺産が処分された場合に関する規律

 

被相続人が死亡し相続が開始された後、遺産分割が終了するまでに、遺産が処分されることがあります。例えば、父親の生前に父親のキャッシュカードを預かっていた子が、父親の死亡後すぐに銀行に行き、そのキャッシュカードを使って父親の預金を引き出してしまったというような場合です。

改正前の民法にはこういう場合にどうするかということを定めた規定はなく、他方で、遺産分割は遺産分割時に実際に存在する遺産を共同相続人間で分配する手続であるというのが伝統的な考え方でしたので、処分された遺産は遺産分割の対象からはずし、残りの遺産の範囲で分割するという取扱いがされていました(もっとも、遺産を勝手に処分することは、他の相続人に対する不法行為になりますので、他の相続人は勝手に処分した相続人に対して損害賠償請求等をすることは可能ですが、それには裁判を起こす必要がありました)。

そこで、改正民法は、新たに906条の2という規定を設け、その1項で、共同相続人全員の同意があれば、相続開始後に処分された遺産についても、遺産分割の対象とすることを認めた上で、2項で、遺産を処分したのが共同相続人である場合は、その他の共同相続人の同意があれば、処分された遺産を遺産分割の対象に含めることができることにしました。

これにより、前記の事例では、子が引き出した預金も遺産の総額に加えて各相続人の相続分を計算し、預金を引き出した子はその預金を取得したことで既に自らの相続分を取得したものと扱うことができ、別に裁判を起こすまでもなく、公平な遺産分割が実現できることになったのです。

 

(2) 被相続人の療養看護等の貢献を行った親族に相続人に対する金銭請求を認める制度

 

例えば、被相続人が、生前に病気のため病院に長期入院しなければならなかったところ、自宅で献身的に看護する者がいたため、入院せずに済み、その結果、遺産が入院費用の支払いのために減少するのを免れたというような場合があります。

このように被相続人に対して療養看護等の貢献をした者が遺産から分配を受けることを認める制度として寄与分の制度がありますが、これは相続人にしか認められないため、例えば、相続人の配偶者が被相続人の療養看護に努めたことにより被相続人の財産の維持や増加に寄与しても、遺産の分配に与れないという不公平が生じます。

そこで、改正民法は、特別の寄与の制度を新設し(1050条)、被相続人の親族で相続人でない者が被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合には、相続人に対して寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求できるようにしました。

特別寄与者が特別寄与料を請求するには、まずは相続人との協議になりますが、協議が整わない場合は、家庭裁判所に対して、協議に代わる処分を請求することができます。ただし、この請求は、特別寄与者が相続の開始(被相続人の死亡)及び相続人を知った時から6ヶ月以内及び相続開始時から1年以内にする必要があります。

井奥圭介

(その6)相続法改正②「遺言の利用の促進」

2020年1月9日

                                                    
  平成30年7月の国会で決まった相続法改正の3つのポイントのうち、今回は、2つ目のポイントである遺言の利用の促進についての説明です。
  遺言の利用を促進するために、ⅰ自筆証書遺言の方式緩和、ⅱ遺言書保管制度の創設、ⅲ遺言執行者の権限の明確化、などの改正が行われました。

(1) 自筆証書遺言の方式緩和
    遺言書には、大きく、公証人に作成してもらう公正証書遺言と遺言者が自分で作成する自筆証書遺言の2つの方式があります。
    公正証書遺言は、書面は公証人に作成してもらえ、また、その有効性についても公証人に公証してもらえるというメリットがありますが、作成するには公証人との打ち合わせや公証役場に出頭することが必要があり、また公証人の手数料がかかる等のデメリットもあります。
    その点、自筆証書遺言は、一人で作成でき、費用もかからないというメリットがありますが、従来は、全ての内容を自書しなければならないこととされていたため、相続財産中に、例えば多くの不動産や預金などがあった場合は、その財産目録を手書きで作成するのに手間がかかるという問題がありました。
    そこで、改正法では、財産目録の各頁に署名押印することを条件に、財産目録をパソコン等で作成したり、不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピーを添付することでもよいとされました。
    この改正は昨年の1月13日から既に施行されています。

(2) 自筆証書遺言書保管制度の創設
    公正証書遺言の場合は、作成した公証役場に保管され、遺言者が死亡し相続が開始した時には、相続人は、遺言書検索システムにより、全国どこの公証役場からでも書遺言の有無を調査することができます。
    これに対して、自筆証書遺言の場合は、従来は、そのような公的な保管制度はなく、遺言者が自分で保管するか信用のおける人に預けるなどする必要がありました。しかし、それでは、遺言者が死亡した後に遺言書の存在が顕かになるか不確実であり、せっかく遺言書を作成した遺言者の意思が生かされない事態にもなりかねません。
    そこで、法務局における遺言書の保管等に関する法律という新たな法律が制定され、法務局に遺言書保管所を設け、そこに自筆証書遺言を保管することができるようになりました。遺言者から保管の申請があれば、法務局の担当官が、遺言書の方式を一定程度審査した上で保管し、相続人等から請求があれば遺言書保管事実証明書を交付します。これによって、相続人等が自筆証書遺言書の存在や内容を知る機会が確保されることになります。
    この改正は今年の7月10日から施行されます。

(3) 遺言執行者の権限の明確化
    遺言者が遺言書で遺言執行者を指定したり利害関係人からの請求にもとづいて家庭裁判所が遺言執行者を選任することがありますが、旧法では、この遺言執行者の地位や権限等について不明確な点がありました。
    そこで、改正法では、遺言執行者には任務を開始した時点で遺言の内容を相続人に通知する義務があるとされるとともに、遺言執行者の一般的な権限として、遺言の内容を実現するために遺言執行に必要な一切の行為をする権利を有することが明らかにされました。
    そして、遺言書で遺産を誰かに与える遺贈がされた場合にそれを履行する権限と義務は遺言執行者だけが有すること、遺言執行者は遺言にもとづいて単独で遺産の不動産についての登記を行えること、遺言書で預貯金を特定の相続人に相続させることにされている場合は遺言執行者がその預貯金の払戻しや解約をできること、遺言執行者は自らの責任で復代理人を選任できること、などが定められました。
    これらの改正は去年の7月1日から既に施行されています。

井奥圭介

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