ニュースレターより | 2019年9月5日
こんにちは!相続アドバイザーでFP・行政書士の赤澤秀行です。
終活に深く関係する老後資金問題。今回はあの2000万円問題を取り上げます。
ご存知「老後資金2000万円不足問題」。
金融庁が6月に出した報告書で、「老後は年金以外に平均2000万円必要」と試算されたことで、世論・メディアが大炎上、はては政局にまで発展する大問題になったことは記憶に新しいことと思います。
この2000万円の試算根拠は、総務省の「家計調査」を元にしたもので、高齢者夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均家計収支が月約5万円不足し、仮に65歳から95歳まで長生きすると、30年分で約2000万円不足するというものでした。
ただ、この数字自体に特に意味があるわけではありません。
あくまで《サラリーマンと専業主婦》という高齢者夫婦無職世帯を対象とした「平均」であって、当然ながら実際の老後の家計は人それぞれ全く異なるからです(そのことは先の報告書にもちゃんと書いてあります)。
年金で十分暮らしていける人もいれば、2000万円では到底足りないという人もいます。
我々が気にするべきは、「さて、では自分の老後を試算した場合、いったいどれぐらいの老後資金が必要なのか」という自己分析です。
ではどうやって自分自身に必要な老後資金を試算すればよいでしょうか。
ここで役立つのがファイナンシャル・プランナー(FP)が業務で日常的に作成している「ライフプラン」です。
このライフプランは別にFPでなければ作れないものではありません。やり方さえ分かれば誰でも比較的簡単に作成できます。
ここでは無料でできる方法をいくつかご紹介しましょう。
まずは、簡単な質問に答えていくだけでライフプランが作れるネットサービスを利用する方法。
スマホやPCから「ライフプラン シミュレーション」と検索してみてください。
日本FP協会を始め、様々な金融機関や保険会社、証券会社などが独自のライフプランシュミレーターを自社サイトで提供しています。
いくつかの質問に答えていくだけで、色々なデータをカラフルなグラフとともに見せてくれてちょっと楽しい(*^^*)。
入力情報が少ないため、あくまで簡易的なものですが、はじめてライフプランを体験する方にはピッタリのサービスです。
もう少し本格的にプランニングするなら専門ソフトを。
プロ御用達の「FP名人」のような有料ソフトもありますが、無料でも有料ソフトに引けを取らないものもあります。
例えば、個人利用はもちろん、FP業務利用も想定して開発されている「Financial Teacher System」。
入力項目は多いですが45ページにも及ぶ詳細なレポートを自動で作成してくれます。
ある程度の知識があったほうがベターですが、ほとんどの項目で親切なヘルプが充実しており、頑張れば充実したライフプランニングができるはず。しかも頻繁にアップデートをしているため、年金や税金を始め、最新のデータを使った詳細なシミュレーションが可能です。
最後はちょっとアナログに、エクセルを使ったシミュレーション。
計算式を入れて自分で作るのもいいですが、ここはあるものを使いましょう。例えば、日本FP協会が提供しているエクセル表はどうでしょう。
PDFもダウンロードできるのですが、パソコンが使える方は自動計算してくれるエクセルのほうが断然便利。慣れてくると、実はリアルタムにシミュレーションできるエクセルが一番使い勝手がいいと感じるかもしれません。
そのほか、上記の「Financial Teacher System」でも、出力されたレポートをエクセルファイルでダウンロードして自由にカスタマイズできますので、エクセルに詳しい方はぜひチャレンジしてみてください。
ちなみに、弊所でダウンロードできるエンディングノートにも、「マネープラン」のパートがあり、基本的なライフプランシミュレーションができるようになっています。
ライフプランソフトでシミュレーションしたみたところ、このままでは老後資金が足りないという結果が出た場合、どうやって対策をすべきでしょうか。
実は、我々が取りうるアクションは3つだけ。
すなわち、
①収入を増やす
②支出を減らす
③資産を増やす(運用する)
といっても、①と③はなかなか直ぐどうにかなるものでもありませんよね。
やはり一番実行しやすい②から始めるのが王道です。
ともあれ、まずはライフプランから。備えあれば憂いなしです。
(ニュースレター2019年夏号より)