事務所便り

投稿者:赤沢敬之

新年ご挨拶

| 2024年1月23日

神奈川県・湘南江の島稚児ヶ淵から富士を望む(撮影:赤澤秀行)

明けましておめでとうございます。
新しい年を迎え、所員一同今年も心を新たに仕事に取り組みたいと念じています。どうかよろしくお願い申し上げます。

 この新年は、昨年から引き続くロシアのウクライナへの侵略戦争に加え、イスラエルのパキスタン自治区のガザへの大量虐殺戦争が世界の平和を乱し、また国内でも、物価高騰による生活水準の低下とこれに対する大企業の511兆円を超える内部留保の問題や、格差拡大の中での岸田政権の無策ぶり、さらには自民党各派閥のパーティー券販売による政治資金規正法違反の裏金作りなど、とても「明るい希望に満ちた新年」とは言えない状況です。
 このような年の初めに、私たち市民はどうすればいいのか。ひとりひとりが新しい時代を作っていく責任を負わされた年だと気を引き締めています。

 一方で私の近況はと言うと、昨年11月下旬、4年ぶりに開催された法曹囲碁大会に参加するため単身上京しました。大会前日に新幹線で東京へ。東京駅では昨年東京地裁に事務官として就職した孫の出迎えを受け、そのまま松戸市の長女宅に宿泊し、翌日の午前11時半から市ヶ谷の日本棋院で対局しました。
 私は団体戦A大阪チーム3名のトップとして、東京弁護士会、東京第二弁護士会、岡山弁護士会のチームと3局対戦。辛うじて3戦目に勝ちを収めましたが、対局中と帰りの新幹線で座りっぱなしだったためか、翌日以来腰痛を発症し、しばらくは歩行に苦労しました。やっと12月中旬にはほぼ回復しました。
 4年ぶりの東京は駅の地下や交通路線が相変わらず複雑でしたが、幸い長女と孫が観戦のため同行してくれて助かった次第です。

 本年2月には私も満88歳、米寿を迎えます。脊柱管狭窄症による足の痺れや左眼黄斑変性症など歳相応の不具合はありますが、なんとか毎日事務所に出て仕事ができることを感謝しています。しかし、残り僅かな人生を楽しむため、今年は事務所の運営を次世代の所員にバトンタッチしたいと考えています。
 どうか今後とも皆様方のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

二〇二四年 元旦  赤 沢 敬 之

(ニュースレター令和6年新年号より)

赤沢敬之

灼熱の夏 白浜行き

| 2023年9月11日

今年もまた、恒例の家族一同12名 (私夫婦、子3人と配偶者2人、孫5人) が8月10日から13日にかけて白浜の会員制マンションに出かけてきました。

毎年お盆前の白浜海岸の花火大会見物がメインイベントの一つなのですが、 今年は太平洋沖で発生し紀伊半島を目指して北上中の大型台風7号の進路と速度によっては、中止の可能性大で、 そもそも旅行自体ができるのかともどかしい日々でした。

しかし、幸いにも台風の進行速度が遅くなり、10日午後新大阪から特急「くろしお号」で無事白浜に到着、同夜、4年ぶりに開催された海上花火3000発の連射を楽しむことができました。

そして孫たちの海水浴やアドベンチャーワールドのイルカショー見物、 なによりも温泉でのくつろぎなど無事3日間を過ごし、13日に帰阪したのですが、この間台風はなおゆっくりと紀伊半島に向かい、ようやく8月15日未明に潮岬に上陸しました。

まさにスリルに満ちた自然との共生でした。(弁護士 赤沢敬之)

白浜宿泊先の玄関前にて

(ニュースレター令和5年残暑号より)

赤沢敬之

踏んだり蹴ったり

| 2023年5月9日

季節は巡り青葉若葉の好季節となりました。前号からの3か月は、私にとって「踏んだり蹴ったり」の試練の時でした。

年末から1月半ばまでの3週間はコロナ感染での寝正月。幸い重症化を免れある意味では貴重な休養となったのですが、右足の踵に床擦れが発症した褥瘡により数か月にわたり疼痛で歩行に難儀しました。いくつかの調剤を経て現在は漢方塗薬で快癒の経過を辿っています。

もう一つは、3月29日朝のゴミ出しの際、なにかの拍子にスマホがゴミ袋に入り込んだらしく、昼前に気付いたが後の祭り。どこを探しても見つからず、やむなく次男の協力のもとスマホ購入店舗との電話やネットでの探索作業の結果、万博記念公園付近のゴミ処理場で焼却待ち、同日中に焼却の運命であることが判明しました。

ただ不幸中の幸いで、他人の手に渡り悪用される懸念がないことが分かりひと安堵。数日後代替品を入手できましたが入力データの一部の復元は無理でした。この間の1週間は外出中に家や事務所にも連絡ができず「束手無策」の毎日でした。

こんな経験をした老年の日々でしたが、これを教訓として些細なことにも万全の注意を怠らないよう努めたいと念じています。(弁護士 赤沢敬之)

 

自宅の庭にて(2023.4)

赤沢敬之

言葉の魔術

| 2023年5月8日

宝塚市・花のみち

人間社会には言葉が意思伝達の不可欠の道具であり、言葉を通じてそれぞれの人間関係や社会集団の合意形成や意思分裂の結果をもたらすこととなる。歴史的には、対面の会話に始まり、手紙や電話での遠距離の対話から、ラジオ・テレビ・新聞・雑誌や書物などメディアによる広域にわたる意思伝達へと広がりを見せ、遂にはインターネットやAIによるSNSなど情報伝達の媒体へと異常な進化を見せている。

 言葉には、それぞれに多義的な解釈を伴うことが多く、それが人間の認識を動かす原動力となることがよく見られる。裁判においても、法解釈の多様性が避けられず、解釈次第で結論が左右される。いわんや政治の世界においてをや。

 憲法9条の戦争放棄の条項をめぐり、岸田内閣が国会の論議を経ずに閣議決定と称し、「敵基地攻撃能力(先制攻撃)」の保有は合憲との言葉で「防衛装備」(武器)として攻撃用ミサイルの保有を認め、さらに海外への武器輸出制限を緩和するなど言葉を巧みに使って国民の合意を求めようとする。まさに「言葉の魔術」というほかない。2015年の高市早苗総務相の放送法をめぐる政治的公平性の解釈変更の行政指導とその経緯もその一例であろう。

 かつて我が国は、アジア侵略戦争を合理化する「大東和共栄圏建設」のスローガンで国民を駆り立て、やがて「一億玉砕」に至った戦前の歴史も、言葉の魔術の悪しき前例である。

 「新しい資本主義」「異次元の改革」「前例のない」「さまざまな」などの言葉だけで中身の具体的な説明をしない「政策」には眉に唾を塗って警戒を怠らず、「新しい戦前」の来ないよう努めたいと痛切に感じる昨今である。「憲法記念日」を前にしての雑感である。(弁護士 赤沢敬之)

(ニュースレター令和5年GW号より)

赤沢敬之

囲碁に数独、ときどき仕事

| 2023年1月18日

新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 コロナ蔓延から早や4年目を迎え、日常生活も以前と大きな変化をもたらしましたが、お陰様で歳相応の不具合はありますものの、ほぼ毎日事務所に出ています。

 寄る年波には勝てず、一日の過ぎる速さが以前と比べ半分に、おまけに作業能力も半減しますので、仕事の効率は4分の1になりましたが、好奇心はなお衰えずAI囲碁の新戦法や新聞のクロスワードや数独にすぐ飛びついて少ない時間を費やす日々です。なお、本業の方は相談を主としております。(弁護士 赤沢敬之)

大阪弁護士会の囲碁大会に臨む

赤沢敬之

親子孫3世代白浜温泉の旅

| 2022年9月21日

 8月の夏季休暇、11日から14日にかけて毎年恒例の白浜家族旅行に出かけました。親子孫の3世代総勢12名が4室に分かれ、子達は昼は白良浜海岸での海水浴、夜は全員海辺の食堂での夕食を楽しみました。

 私は、年相応の脊柱管狭窄症による足の痺れを癒すため昼は部屋で読書や囲碁棋譜を眺めて休息し、夜の温泉入浴に時間をかけました。おかげで温泉効果なのでしょうか足の痺れが平素より軽減し、白浜の坂道や階段の歩行がやや楽になったような気がします。

(ニュースレター令和4年残暑号より)

赤沢敬之

有為転変の夏―国葬をめぐって

| 2022年9月16日

 この夏は、6月の猛暑と最速の梅雨明けのあとの猛暑続きという異常な気候変動やコロナ禍の感染拡大、ロシアプーチンのウクライナ侵略の長期化に加え、参議院選挙投票日の直前の安倍元総理銃撃暗殺事件という衝撃的な出来事が重なる例年にない有為転変の夏でした。

 旧統一協会に恨みを抱く犯人の動機はともあれ、元総理の暗殺は許されない行為でありますが、この事件が契機となり予想外の世の動きが始まったのには驚かされました。

 犯人が開けたパンドラの箱から長年にわたり隠されてきた思わぬ事実が次々と飛び出しました。霊感商法、高額献金などの不法な反社会的行動で世間を騒がせた旧統一協会と政権与党の安倍総裁はじめ多くの議員との結びつきが次々と白日の下に曝され、参院選で大勝したばかりの与党を揺さぶるこことなりました。

 これに先立ち岸田総理は、いち早く独断で安倍氏の葬儀を国葬とするとの意向を示し、国会にも諮らず閣議決定により9月27日に実施を決めました。しかし、戦前の「国葬令」は廃止され、天皇の場合にのみ皇室典範で「大喪の礼」が規定されるのみで、多大な国民の税金を使って国葬を行う法的根拠はありません。「聞く耳」を売り物にする岸田総理としては、今回の悲劇を政治利用して安倍氏を天皇並みに祭り上げ、「モリカケサクラ」の虚偽答弁108回を帳消しにし、自己の政治基盤を安定化するチャンスと目論んだのでしょうが、これは少々早やとちりでした。

 案の定次から次へと旧統一協会の自民党首脳部や議員への選挙を通じての協力と引き換えに同協会の名称変更の理由なき同意や教会の悪のイメージの消去にお墨付けを与えてきた経過が報道されるに至りました。選挙後の内閣改造による新内閣の布陣にも多くの協会関与者が含まれ、「国葬」反対の民意が徐々に高まり、今や数々の世論調査で反対が60~80%にも達する勢いです。

 民主主義の基本が侵されようとする現在、今後果たしてどうなるのか注視して行きたいと思います。

(ニュースレター令和4年残暑号より)

赤沢敬之

pagtTop