新年年明け早々、自宅に現金書留封書が届いた。心覚えもなくなにかの相談の謝礼金なのかと思い、差出人を見るとKY(KK)とある。
KK君は高津高校の同学年でクラスは違ったが気の置けない友人だった。しかし卒業後70年間、同君は同窓会にはあまり出席したことがなく、なにかの相談で20年か30年前に事務所に見えたことだけがかすかな記憶に残っていた。
文面を開くと、「私はKKの長女ですが、生前父より昔赤沢様より5万円を借りたことがある、とても助かった、返さなければと聞いたことがあります。当時の私はなぜ行動しないのかと思っていましたが、自分も歳を重ね、気持ちはあっても一歩を踏み出せないということを理解ができるようになりました。 先日赤沢様の年賀状でご住所が分かりましたので、突然で不躾ではございますが父の思いを継ぎお返し致したく送らせて頂きます。当時とは価値が変わっていて申し訳ありませんが、お受け取り頂ければ幸いです」とのことである。
一読して、そんなことがあったかなと記憶を辿ったが思い出せない。そのまま受け取るのも気が引けるので、4,5日後、記載の電話番号に電話をしたところ、KK君は昨年8月に亡くなり、お母様も2年前に亡くなっていたため、近くに住むYKさんが面倒を見ておられたようだった。お母様も生前「あのときは助かった」と話されていたとのこと。
お話を聞き、3人の方のそれぞれの思いを受け止めることにして、有難く頂戴することにした。KYさん「これでホッとしました」と言われたが、私も年始早々「心温まる贈り物」を頂いたほのぼのとした気分が今なお続いている。
(ニュースレター令和4年GW号より)