ニュースレターより | 2024年5月13日
人生の大きな喜びの一つは、一生を通じて楽しめる趣味を持つことでしょう。赤沢敬之先生にとっての囲碁は、まさにその見本のような例です。
今般発刊された「弁碁士の呟き」は、赤沢先生自ら囲碁との出会いから現在に至る囲碁遍歴を赤沢・井奥法律事務所のホームページに2014年からコラムとして書き綴ったものを一冊の本にまとめたものです。
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本書によれば、赤沢先生と囲碁との出会いは中学2年で故郷の徳島から大阪に家族で移り住んだ時にさかのぼりますが、本格的に囲碁の勉強を始めたのは大学4年で司法試験に合格してからとのことで、意外に遅かったと言えます。
しかし、いったん始めてからは、持ち前の熱心さを発揮して、「ハメ手」の解説書やイソ弁として入所した山本治雄法律事務所のビルの老管理人などからの教授を得て、27歳で初段と、めきめきと腕をあげていきます。そして、赤沢先生の囲碁の研究はさらに古今東西の棋譜に及び、段位は50歳で6段に上がることになりますが、その経緯は本書の「棋譜並べ①~⑥」に詳しく書かれています。そして、最近では、スマホの囲碁アプリが修練の場になっているとのこと。赤沢先生の囲碁の実力はこのようなたゆまぬ研究に裏づけられたものであることがよく分かります。
さらに、本書を読んで分かることは、囲碁の魅力というのは、単に競技自体の面白さにとどまらず、囲碁を通して人との交友関係が際限なく広がっていくということです。本書の中に囲碁の対戦相手あるいは同好の士として登場するのは、同業の弁護士、裁判官、検察官といった法曹はもちろん、プロ棋士、政治家、医師、雑誌編集者、さらには千日回峰行を達成された高僧と、実に多種多彩で魅力に富んだ方々ばかりです。そのような人たちとの囲碁を通してのつきあいが赤沢先生の人間の幅を広げているように思います。
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赤沢先生は、現在、こうした囲碁の魅力を後輩に伝えるべく、大阪弁護士囲碁同好会の会長や毎年の弁護士会囲碁大会の観戦記を弁護士会報に執筆するといった活動を続けておられます。私も、今から37年も前のことになりますが、当事務所に入所した当時に、赤沢先生から囲碁の教則本を渡されましたが、その時は囲碁が何やら古くさいものに感じて、ついぞ頁を開かずにいたことを、今となって大いに後悔しています。そのことをお詫びするとともに、赤沢先生には、今後も、どうぞお元気で、囲碁の魅力の伝道師として活躍されることを祈念します。 (弁護士 井奥圭介)
(ニュースレター令和6年GW号より)