弁碁士の呟き

私と囲碁(52)「碁縁は異なもの味なもの」ー比叡山律院叡南俊照阿闍梨師との出会いー

| 2019年9月19日

 「縁は異なもの味なもの」とは、古来予測できない人生の面白みを表す諺だが、私にとっては、これに「碁」という一文字を足すだけで語りつくせぬ囲碁と人生の深み面白みを表す言葉となる。比叡山律院の叡南俊照阿闍梨師との出会いはまさにその典型的な一例である。

 阿闍梨さんは昭和18年生まれ、昭和54年に戦後8人目(現在まで約40人)の千日回峰行(約30キロの比叡山の山道を1000日歩く荒行と堂入り後の9日間の断食、断水、不眠、不臥)を達成された高僧で、無類の囲碁好きの自称5段(一般の碁会では6、7段か)の打ち手である。

 私とは思わぬご縁でお知り合いになり、平成26年7月と翌年3月に律院を訪れ、護摩焚き祈願に参列したあと、烏鷺(注:囲碁の別名)を楽しんだ。

比叡山律院に初訪問(2014年)

律院での初対局

 2回目の訪問には高津高校同窓の向山さんと同行し、私は2局(向先)、向山さんは3子で1局打った。

2回めの訪問(2015年)

 さて、その碁縁とは、平成26年に同窓の前田さんから、従姉妹のMさんのご主人の法律問題の紹介を受け、無事案件が解決したあと、前田さんとMさんが事務所に来られた際、たまたま私の「医師弁護士対抗碁会」での対局が紹介された囲碁雑誌「梁山泊」を一冊欲しいとのことでお渡ししたところ、律院に奉仕をされているMさんが阿闍梨さんに見せられたようで、是非一度来院をとのお話があり、Mさんたちとともに平成26年の夏に訪問したことに始まるものだった。

囲碁梁山泊 (2013年白秋)

執務室にて(2014年)

 高僧でありながら(だからこそ)、腰の低いやさしいお人柄の方で、修行中も囲碁を楽しみ、毎週火曜日には宿舎で碁会を催される(現在は中止)ほか、これまでに全国の105の碁会所を回られたという驚異的な記録をもっておられる。

 この訪問がきっかけとなり、その後平成27年4月から、私たちの高津囲碁会に毎年1,2回は秘書役の囲碁愛好者の方と共に参加され、7段格で無類の早打ちを披歴されている。

高津囲碁会での対局(2018年)

高津囲碁会にて(2018年)

 碁会のこととて、ゆっくりとお話をお聞きする時間がないのが残念だが、そのうち千日回峰行の話や法話などをお伺いすることができればと期待する昨今である。

高津囲碁会の面々と(2016年)

(ニュースレター令和元年夏号より)

赤澤秀行

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