事務所便り

変わりゆく裁判

| 2023年1月16日

新年、明けましておめでとうございます。今年が、皆様にとって、良い一年になることを心よりお祈り申しあげます。

さて、令和2年の2月頃から始まった新型コロナウイルス感染の流行も今年で4年目に入ろうとしていますが、その影響で、日本の社会は、以前と比べて色々な面で様変わりしました。

裁判も、例外ではありません。感染が始まった当初、裁判所は、庁内での感染を恐れて、一時期、民事の裁判を、緊急を要する一部の手続を除いて、全面的にストップさせました。

しかし、それでは、裁判所のもつ社会的な役割を果たせないという反省から、徐々に、通常どおりに裁判期日を開くようになりましたが、以前と違って、当事者は裁判所に出頭せず、代理人弁護士の事務所等にいて、インターネットを利用したWEB会議で裁判官とやりとりすることが増えました。

実は、コロナ禍の前から、日本の裁判はもっとIT化を進めなければならないという意見はあったのですが、その意見が、コロナ禍による実際の必要に迫られて、一挙に現実化していったという感じです。

それでも、最初の頃は、1回目の期日だけは法廷は開き、2回目からWEB会議にするというような運用がされていましたが、そのうちに、もちろん当事者双方の同意を得た上ではありますが、1回目からWEB会議で行うというような運用もされるようになり、さらには、準備書面や書証も、実際に紙で提出するのではなく、文書データをパソコンから送信すればよい事件も現れました。間もなく、担当の裁判官と一度も直接顔を合わせる機会がないまま、和解で裁判が終わる事件も現れる見込みです。さすがに、証人尋問は、今でも、法廷で行われるのを原則としていますが、これも、遠方にいる証人などについてWEB方式による尋問を認めるケースを広めようとしています。

これまで、長年の間、裁判と言えば、裁判所に出頭して裁判官と直接やりとりするのを普通のこととしてきた身にとって、このような裁判の現状は、これが裁判?と首をかしげるような場面もあります。

しかし、考えてみると、裁判所に出頭しなくてもよいことで、移動の時間が節約でき、弁護士自身の負担軽減になります。また、交通費も節約でき、そのことは依頼者のメリットになります。さらに、事務所にいて参加できることで、裁判期日も入れやすくなり、訴訟の促進がはかれる効果も期待できます。それに、紙を使わなくてよければ、資源の節約にもなります。

こうして考えていくと、裁判の IT化の流れに反対する理由は何もないということになります。それを、裁判とはこういうものだといった固定観念だけで反対するのはやはりよくない、時代の進展に即して弁護士業務のスタイルも変えていく必要があると考えている今日この頃です。

(ニュースレター令和5年新年号より)

井奥圭介

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